【連載:第1回】FC(フランチャイズ)とは?

■ FC(フランチャイズ)とは

●総説

FCとは、主に、フランチャイザー(本部)が蓄積した自社の経営ノウハウやビジネススキーム、商標をフランチャイジー(加盟店)に提供し、フランチャイジーは加盟金やロイヤリティを支払うことで提供されるノウハウや商標を利用してフランチャイザーとは独立した主体として経営を行うものを指します。

FC契約の本質的な部分は、事業を展開するにあたって必要となる作業の一部を、フランチャイザー(本部)とフランチャイジー(加盟店)とが相互にアウトソーシングして成り立つ点にあります。

●フランチャイザー(本部)とフランチャイジー(加盟店)の役割分担

どのような事業であっても、業界の課題や消費者のニーズを分析した上で、どのような商品やサービスを、どのような消費者層に向けて、どのように販売するのかといったことを検討することでしょう。

その検討事項には、事業所の名称やロゴ、店舗の立地場所、商品やサービスの価格設定、仕入れルートの確保や在庫管理のシステム構築、従業員の教育方法、宣伝・公告の方法など多岐にわたります。

FCでは、フランチャイザーが、事業を展開するために決断すべき事項について、その直営店での成功要因等を分析し、店舗・ロゴ・商品・仕入れ方法・管理システム等をパッケージ化してフランチャイジーに提供することになります。
他方で、フランチャイジーは、フランチャイザーからパッケージを提供してもらう代償として、加盟金やロイヤリティを支払うことになるのです。

このように、フランチャイズ・ビジネスは、フランチャイザーが直営店の成功要因等を分析して商品や店舗の立地条件、システム等をパッケージ商品して提供し、フランチャイジーが対価としてロイヤリティを支払うビジネスモデルであるため、極論ではありますが、どのような業種にも適用することが可能です

■ FC(フランチャイズ)の留意点

フランチャイザーにとってFC展開するメリットは、主として、事業展開の“スピード”です。
このため、フランチャイザーがスピード感をもって事業展開するためには“加盟店の開発”がとても重要な業務となりますが、加盟店候補者を同事業へ誘う際には、いわゆるビジネストークが必要となることも当然あるでしょう。

また、フランチャイズ契約を締結する段階となれば、FC加盟後にフランチャイザーとしてフランチャイジ-に提供すべき業務の内容やマニュアル書類、反対に、フランチャイジーが行うべき開業準備や業務内容を、フランチャイザーとフランチャイジーの双方が正確に理解しているべきです。

そうすると、

  • フランチャイザーの機能(本部機能)やフランチャイジーが履行すべき業務内容や禁止事項がFC契約書に的確に反映されているか?
  • フランチャイザーがFC加盟説明会等に際して、法律上、問題のある説明をしていないか?
  • フランタイザーが経営ノウハウを教えたら真似されないの?

といった点がとても重要となります。

特に、“契約”は、日常的な約束とは異なり、フランチャイザーとフランチャイジーの関係性を法的に拘束する根拠となるものですから、非常に重要です。

そして、FCは、直営店等の成功要因を研究して得られた個別具体的な成功ノウハウをパッケージ化して加盟店に提供するモデルであるため、FC契約書に記載するべき規定内容は、必然的に、それぞれのFCの実態を的確に反映した個別具体的なものとしなければなりません。

■ まとめ

  1. フランチャイズ・ビジネスは、どのような業種にも適用できる!
  2. FC契約書は、ひな型の利用では足りず、個々の契約内容を的確に反映したものであるべき!
  3. フランチャイザーは加盟店の開発において説明の内容に十分に注意すべき!

連載第2回以降の記事では、FC契約書ひな型の落とし穴、フランチャイザーが加盟店に対してFC事業の説明を行う際に注意すべきポイント(説明義務の範囲)、FCにおける競業避止義務の考え方、業種別のFCの留意点、などについて、順次解説します。

 


執筆者: 弁護士 内藤皓太

 

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