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コラム 平成29年2月1日

試用期間とは

 入社した会社で6か月試用期間といわれました。人事担当からはその間に能力を見るといわれましたが、期待されていたほどの能力がなかったらクビになってしまうのでしょうか?





 大企業に限らず、中小規模の企業でも試用期間を導入している会社は多くあると思います。

 そして、試用期間中に労働者の能力を図り、正社員にするか否か決めることが多いと思われますが、その際に簡単に能力不足だったから解雇したり、本採用を拒否したりすることができるのでしょうか。


 そもそも、試用期間とは、試用制度の実態にもよりますが、一般に「解約権留保付労働契約」という労働契約が成立していると解される場合が多いでしょう(三菱樹脂事件 最大判昭和48年12月12日)。
 

 通常、労働契約が成立していた場合、労働者を解雇する場合は、労働契約法16条の解雇権乱用法理が適用され、「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合」には解雇は無効になります。


 「客観的に合理的な理由」とは、労働能力の欠如・喪失・不能、重要な業務命令違反、不正行為、非違行為、経営上やむをえない整理解雇などの解雇することがよほどの理由に基づくものであり、それが誰から見てもわかるものであることをいいます。

 そのため、数回遅刻や欠勤をした、上司に対する態度が悪い、営業成績が平均以下である、何度かミスをしたなどの理由では、通常は解雇することはできない場合が多いです。


 「社会通念上の相当性」とは、解雇処分がその内容程度に比べて厳しすぎないか、ほかの同じような事例や処分と比較しても、均衡がとれているかということをいいます。
 

  
 試用期間も当然労働契約が成立している前提であるため、上記の法理が当てはまりますが、前掲三菱樹脂事件では、試用期間における本採用の拒否の場合は、通常の解雇より広い範囲における解雇の自由が認められるとして、「解約権留保の趣旨、目的に照らして、客観的に合理的な理由が存在し、社会通念上相当として是認されうる場合にのみ許されるとしています。


 具体的に例をあげますと、微塵も仕事ができないとか、協調性がゼロであるとかなどの事情が当初知ることができず、または知ることが期待できないような場合があるといえます。
 
 また、その立証責任は会社側にあるため、客観的な証拠が必要となってきます。


 そのため、頭書きの例のように、「思っていたよりも能力がなかった」ことを理由とする場合には、思っていた能力とは具体的にどのようなものだったのか、それが採用者にあると判断した理由や証拠などがあるのか、採用判断の過程はどのようなものであったのかなどが問題とされる可能性があります。



 それなら試用期間ではなく、有期雇用契約にする方法はどうでしょうか?


 判例は、その企業に試用期間制度がなく、最初は有期雇用(期間の定めのある労働契約)という形式がとられていても、その職務内容が正社員と同じで、あくまで労働者の適格性判断のために契約期間が設定されている場合には、特段の事情がない限り、その有期契約は、期間の定めのない通常の労働契約における試用期間とみるべきだとしています。(神戸弘陵学園事件 最判平成2年6月5日)

 つまり、実質的には、試用期間と同じならば形式ではなく、有期雇用ではなく試用期間として見ろということでしょう。


 企業側としては試用期間制度と有期雇用契約のどちらが確実にいいとは、一概にはいえないと思います。

 労働者側の意識としても有期雇用という形態より試用期間という形態のほうが頑張ろうという気持ちになるかもしれませんし、逆に試用期間中は正社員ではないからと気を抜く人もいるかもしれません。

 有期雇用は雇止め法理による保護の対象になる反面、助成金の対象となる場合もあったりする面もあります。

 このように企業の方針や人材育成の仕方によりケースバイケースといえるでしょう。

 むしろ制度の選択より、採用当初の職務内容や求めている人材や能力について詳細に説明することのほうが大事だと思います。





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