本文へスキップ

札幌市の若手の弁護士事務所です。相続・遺言、離婚、交通事故、労働問題、借金問題など無料電話法律相談を行っております。

電話TEL.011-209-1126

〒060-0042 札幌市中央区大通西12丁目4番78号 ウエスト12ビル5F

トピックス・コラムNEWS&FAQ

>トップページ >トピックス・コラム一覧 >遺産分割の対象って何なの?

コラム 平成29年1月17日

遺産分割の対象って何なの?

 例:母が亡くなり、遺産が自宅、現金、預貯金、友人への貸付金、消費者金融への借金があり、葬儀費用も30万円以上かかりました。
 しかし、兄弟間で遺産分割の協議がまとまらず調停を申し立てる予定で、いずれは審判になる可能性があります。


 相続人間で遺産分割協議がまとまらない場合、裁判所に原則遺産分割調停を申し立てることになり(調停前置主義)、さらに調停が成立しない場合は審判手続きに移行します。
 そこで、母の遺産はどこまでが調停・審判の対象になるのでしょうか?

 実は、一口に遺産といっても不動産、株式、預貯金、現金、投資信託などの有価証券、貸金債権、損害賠償請求権などの不法行為・不当利得債権、法定果実、債務、葬儀費用、遺産管理費用などプラスの財産からマイナスの財産と様々なものがあります。

 遺産分割協議では、まず相続人間で協議をし、それが整わない場合に家庭裁判所に調停または審判を申立てします(民法907条2項)。
 そして、協議、調停、審判ではそれぞれ対象となる協議の対象となる財産が異なってきます。

 遺産分割の対象となる遺産とは、「相続開始時に存在」かつ「遺産分割時に存在」する「未分割」の「積極財産」のことをいいます。
 ただし、相続人間の合意などによって遺産分割の対象に加えることも可能です。以下に例を挙げて説明いたします。
  

 ●当然に遺産分割調停・遺産分割審判の対象となる財産
  不動産
  賃借権
  株式・投資信託などの有価証券
  現金
  預貯金
 
 ※預貯金については、従来「預金は相続によって当然分割されるため、原則遺産分割の対象外である」との判例があったが、最高裁により判例変更がなされ、「預貯金は遺産分割の対象となる(最大決平成28年12月19日」となりました。
  その結果、別の相続人が被相続人から生前に受けた贈与などについて特別受益と扱われる可能性があり、贈与を受けていない他の相続人にとって有利な分配を受けることになる可能性があります。


 ●当事者の合意があれば遺産分割の対象にでき、調停及び審判で扱うことができる財産
  貸金債権
  不当利得・不法行為債権(使途不明金)
  果実(被相続人の死後の賃料については、最判平成17年9月8日「未分割の間の賃料については、各相続人がその相続分に応じて取得する」)

  ※貸金債権なども可分債権ではあるが、預貯金とは性質が異なるため、当然に遺産分割の対象とはならないと考えています。


 ●全相続人が合意すれば「調停」では扱えるが、「審判」では扱えない財産
  相続債務(債権者の同意がなければ相続人間で合意したとしても請求は防げません。)
  葬儀費用
  遺産管理費用

 以上のように、遺産分割審判になれば遺産分割の対象財産が制限されてしまうため、まずは調停を申し立てることが実務上も重要であると思われます。
 
 なお、遺産分割事件は調停前置主義(審判の前に調停を申し立てなければならない原則)が採用されていませんから、法律上は「調停」、「審判」のいずれの手続きでも申し立てることが可能となっています。(家事事件手続法257条1項)

 もっとも遺産分割の問題は親族同士の問題ですから、まずは調停を申し立てて、裁判所の関与の下でできるだけ話し合いによる解決を図ったほうが良いとの考えがあるため、運用上は調停前置主義と同様の扱いがなされています。






←                     一覧へ戻る             年金の分割ってどういうこと?→